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参院選後の日本版「トラスショック」=拡張財政で「売り一色」の現実味…安心材料として持ち出されてきた論点はもはやそれほど盤石ではない

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では、日本がこのような事態(以下日本版トラスショック)に陥ることはないのか。

往々にして「問題ない」という立場の意見をまとめてみると、①英国は経常赤字国だが日本は経常黒字国であること、②英国は対外純債務だが日本は対外純資産国であること、①・②の結果として③日本国債の大部分は国内消化されていること、④日本は「政府債務残高÷名目GDP」こそ大きいものの、「政府利払い費÷GDP」の比率で見れば英国ほど高くないことなどが論拠として挙げられることが多い。

しかし、これらの材料は決して盤石とは言えない。

かねて筆者のコラムをお読みいただいている読者であれば、①経常黒字国や②対外純資産国を理由として日本の頑健性を強調することの危うさにすぐ気づくのではないか。

英国は借り手、日本は貸し手、ではあるが…

確かに、経常収支やその結果としての対外純資産(or債務)残高に関して言えば、日英の差は極めて大きい。経常収支(対名目GDP、%、2024年)を国際比較した場合、IMFの世界経済見通しにおいて先進国としてグルーピングされる41カ国中、英国は36位(3.4%の赤字)である。これに対して日本は17位(4.8%の黒字)だ。

金額で言えば英国は39位(1227億ドルの赤字)、日本は3位(1930億ドルの黒字)である。この①経常収支の累積が②対外純資産になるため、必然的に「対外純債務国の英国」と「対外純資産国の日本」という彼我の差も極めて大きくなる。

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