ギリシャのユーロ圏離脱がなければ、欧州の債務問題は長期化する

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今後、何を起こすべきかということと、何が起こるかということは分けて考えなければならない。私がこうあるべきだと考えているのは、ギリシャは比較的早期にユーロ圏を離脱すべきだということ、そして他の加盟国はギリシャが離脱することは同国のためになると言って、状況を大げさにしないことだ。そうすることで、ユーロ圏を離脱したギリシャは経済を回復させ、国際競争力を取り戻すべきである。

しかし、過去数カ月間において明らかなのは、欧州各国政府がギリシャのユーロ離脱はコンテージョン(危機の伝染)につながるとして危惧していることだ。そのため、ギリシャは私が想定していたより長期間ユーロにとどまり続けると見られる。
 
 私は、それは賢明な決断だとは思わない。そうすることは、ギリシャだけでなく他のユーロ加盟国にとっても、長年にわたって国際競争力上の苦痛と困難が続くことを意味している。ユーロ圏は不安定な状態に置かれ、完全な競争力も幸福も得られない。今のところ、このドラマは「ネバーエンディングストーリー」になりそうな雲行きだ。

--ユーロを離脱すればギリシャは本当に立ち直れるのか。

もちろん当初は大きな代償や混乱を伴い、支援が必要となる。ギリシャの民間銀行の資本増強や中央銀行の準備預金を増やす必要もある。ギリシャ経済の基盤を再整備しなければならない。ただ、ギリシャには何ら有望な輸出産業がないという認識は誤解だ。競争力のある産業はある。今は高すぎる通貨価値が障害になっているだけだ。ギリシャが過大評価されていると考えられているから、海外からの投資が乏しい。

通貨が再評価されて価値が下がれば、欧米や中国、隣国のトルコなどからギリシャに対して投資が増えるだろう。債務危機で南欧諸国から何千億ドルもの資本が逃避したと思われるが、通貨が切り下げられれば、すぐにそうした資本がまた戻ってくるだろう

ユーロを離脱してもEU(欧州連合)には残れるだろう。現に、10カ国のEU諸国は通貨統合に参加していない。

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