相次ぐ証券口座乗っ取りや不正送金・・・「金融機関のサイバー対策」は情報収集や人材面にも課題、日本に欠けた視点とは?

ネットバンキングの不正送金や証券口座乗っ取りが多発するなど、金融機関のサイバーリスクが高まっている。日本が直面している課題とは?(写真:Elnur/PIXTA)
ネットバンキングの不正送金やクレジットカードの不正利用は依然として多く、最近では銀行等を狙った大規模なサイバー攻撃や証券口座乗っ取りなどが相次ぐなど、金融機関のサイバーリスクに注目が集まっている。日本の金融機関におけるセキュリティ対策の現状や経営層のリスク認識、人材面での課題などについて、金融業界で長年サイバー対策の業務に携わり、人材育成に取り組むArmoris取締役専務CTOの鎌田敬介氏に話を聞いた。
金融機関の「サイバーリスク」、近年の傾向
――金融業界におけるサイバーリスクは、近年どのような特徴が見られますか。
例えば、2024年末から2025年にかけて話題となった、銀行等のインターネットサービスに対する大規模なDDoS攻撃。この攻撃自体は昔からあるのですが、今回は攻撃者とその目的が不明で、従来の対策が有効でない攻撃パターンも含まれていました。

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また、国内外で今問題になっているのが、金融機関の顧客をターゲットとした不正行為。犯罪者は近年、ここにかなりリソースをかけています。サイバー攻撃やソーシャルエンジニアリングなど多様な手法を組み合わせたり、業務フロー上の穴を突いてきたりといった行為が横行しており、金融機関も苦慮しています。最近大きな話題となった証券口座乗っ取りの問題は、典型的な事案です。
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