映画が子どもの "新たな一面"を引き出す?教員・保護者にも観てほしい作品をピックアップ 未知の作品との出合いで「人生が変わる」経験も

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「自身の心が求めていた」映画の世界へ足を踏み入れた理由

映画をこよなく愛する有坂氏は、現在でも毎日1本のペースで映画を観ているという。しかし意外にも、「幼少期はむしろ映画が嫌いだった」そうだ。

「映画に目覚めたのが19歳で、それまでに観た作品はたった2本。1本目は7歳の時で、『グーニーズ』という宝探しの冒険物語でした。作中で主人公が空き家で宝の地図を見つけるのですが、自分と年齢が近かったこともあって感化されて、しばらく友達を誘って近くの空き家で遊ぶようになりました。それほど面白く、楽しく、日常に与える影響も大きかったんです」

映画に好印象を抱いた有坂氏は、親に「もう一度『グーニーズ』を観たい」とかけ合った。しかし親心としては、別の作品にも触れてほしかったのだろう。次に観た映画は『E.T.』だった。

「宇宙人の顔も怖いし、SFファンタジーに入り込めなくて。双子の兄も一緒に観ていましたが、上映中なのに2人で映画館を走り回ってしまいました」

それから12年、一度も映画を観ることなく、サッカーに打ち込む日々を送ったという。そんな有坂氏に、19歳で転機が訪れる。彼女に誘われて、映画館で『クール・ラーニング』(冬季オリンピックに初出場したボブスレーのジャマイカ代表を描いたコメディー作品)を観たのだ。

「正直最初は気が進まず、すでに5回は断っていたのです。渋々一緒に行きましたが、鑑賞中、雷に撃たれたような感覚に陥りました。集団スポーツがテーマだったので、サッカーをしていた身として感情移入しやすかったし、ディズニー映画だからストーリーもわかりやすかった。パンフレットを購入し、帰宅後もページをめくっては余韻に浸っていました」

この出来事が“人生のターニングポイント”となった。その後有坂氏は、映画ファンとして足繁く通った「新宿TSUTAYA」でアルバイトを開始。ほかの店舗が扱わないマイナー作品の買い付けや、売り場コーナーの企画も担当するようになっていった。さらに、小さな映画館を立ち上げたアルバイト仲間から、「上映会をやらないか」と持ちかけられる。これが、キノ・イグルーの記念すべき第1回目のイベントとなった。以降、22年にわたり活動を続けている。

教員と子どもたち、同級生どうし、そして親子。どの映画が誰の人生を変えるかわからない。映画そのものの楽しさはもちろん、映画を介したコミュニケーションの楽しさも、じっくり味わってみてはいかがだろうか。

(文:せきねみき、注記のない:years/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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