中国EVがハンガリーに相次ぎ進出…オルバン首相との蜜月を背景にEU域内に輸出できる「関税の抜け穴」に

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中国製EVも徐々に浸透し、BYDは23年10月に現地の販売代理会社2社と契約を結んだ。民間調査会社「データハウス」によると、BYDの販売台数は23年の17台から24年は1437台に増えた。代理店の1社で販売責任者のビキシュ・ミクロスさん(51)は「国内に工場を作り、政府との関係も良好だ」と手応えを語る。

ハンガリーのオルバン首相と中国の 習近平(シージンピン) 国家主席は蜜月関係にある。2人は昨年5月、ハンガリーで会談し、EV関連などの経済協力の強化で合意。ハンガリーは成長戦略として、EV電池の製造大国を掲げる。

オルバン首相は権威主義的で、ロシア寄りの姿勢でもEUと摩擦を抱えており、中国企業に多額の補助金を用意し、EU域外との関係を強化しようとしている。

ただ、住民からは不満の声も出ている。CATLの工場建設地の近くに住む母親たちでつくる市民団体代表のエバ・コズマさんは「住民の意見を聞かずに、住宅のすぐそばに危険な化学工場が建設されている。交通渋滞も激しく、住民の健康よりも投資家が優遇されている」と憤る。

調査研究機関の欧州交通環境連盟は、EUで販売されたEVに占める中国メーカーの割合は19年の0・4%から、25年には14%に拡大すると推計する。EUは24年10月に中国製EVに追加関税を課したが、中国勢がEU域内のハンガリーに工場を作れば、関税を回避する「抜け穴」となる。

英紙フィナンシャル・タイムズは20日、EUの執行機関・欧州委員会が、中国政府がハンガリーのBYD工場に不当な補助金を支給したか、調査に乗り出したと報じた。不当と判断すれば、生産能力の削減や補助金の返済を強制するといい、今後のEUの対応が注目される。

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