「変化に強い力」が備わっている!脳科学者が解説する「早生まれ」が本当はすごい訳 1〜3月生まれだったら、不利なイメージだが…
実は、これはとても大きな問題です。
自分のことを大切だと思える「自己肯定感」や、自分が頑張ることで何かを達成できると思える「自己効力感」は、人の能力を大きく左右する要素であることが数々の研究で明らかにされています。
「自己肯定感が高いほど大学の成績が高い※2」、「高校生の自己効力感と学力の関係から、自己効力感は学力向上の大きな要因であることが明らかになった※3」など、「自己肯定感・自己効力感が高いほど、学力も高い」ということを、これらの研究は示しています。つまり、「人間の能力は、自己肯定感・自己効力感によって左右される」ということです。
早生まれの人の成績が振るわないとしたら、それは自己肯定感・自己効力感が低いからかもしれません。これらの感情の高低は、生まれつきのものではなく、高くもなり、低くもなります。「いかに高い状態にして維持するか」が、分かれ目になるのです。
※2 Seyyed N. Hosseini, et al. Locus of Control or Self-Esteem; Which One is the Best Predictor of Academic Achievement in Iranian College Students. Iran J Psychiatry Behavioral Sciences, 2016 Mar 15;10(1):e2602.
※3 Shahrzad Elahi Motlagh, et. al. The relationship between self-efficacy and academic achievement in high school students. Procedia - Social and Behavioral Sciences, 15, 765-768, 2011.
早生まれには「変化に強い力」が備わっている!
「早生まれが本当はすごい」のは、脳に「可塑性」という性質があるからともいえると思います。
「可塑」というのは聞きなれない言葉だと思います。これは「思い通りに物の形をつくること」をいいます。脳には、「思い通りに脳自体をつくることができる・変化させることができる」という性質が備わっています。
実は、この可塑性は何歳になっても残ります。例えば10歳になっても、30歳になっても、50歳になっても、70歳になっても、新しいことを学ぶことができるのは、脳に可塑性があるからです。ただし、可塑性は「若い脳の方が高い」ということもわかっています。新しいことを学ぶのであれば若いうちの方がいい、ということは、皆さんも実感として感じているはずです。
早生まれの子というのは、結果的に他の子よりも一足早く集団生活に入り、様々なことをスタートすることになります。多くの他者とコミュニケーションをするのも、体操をするのも、絵を描くのも、合唱をするのも、合奏をするのも、勉強をするのも、遅生まれの子よりも脳が若いうちに始めることになるのです。