AI選書で読書好きの子を増やしたヨンデミー代表が語る、「書く力」の伸ばし方 AIと会話「ハナシテミー」で育てる7つのワザ

感想を「書いてくれる」のではなく「引き出してくれる」
Yondemy(ヨンデミー)が提供する、月額定額制の読書教育サービス「ヨンデミー」。AIの「ヨンデミー先生」というキャラクターが、子どもの好みやレベルにマッチした本をお薦めしてくれるサービスだ。
本の楽しみ方や感想の書き方を1日3分で学べるミニレッスンや、キャラクターとの冒険やバッジなどゲーミフィケーションも取り入れており、子どもが自ら本を読むようになるなど小学生ユーザーを中心に人気を集めている。漢検や日本郵便、大垣書店、浜学園など他業界との連携も増えており、現在ユーザー数は約1万人に達する。
そんなヨンデミーに新機能として加わったのが、AIキャラクターと会話しながら1日5分程度で感想文を作成できる「ハナシテミー」だ。ヨンデミーにはもともと、子どもが本を読んだ後に感想を提出する機能があったが、今回はその感想を「書く」部分を支援するサービスとなる。
昨年9月からベータ版として提供を開始して改良を進め、今年1月末に正式版をリリースする運びとなった。同社代表取締役の笹沼颯太氏は、ベータ版の段階ですでに手応えを感じたという。

Yondemy代表取締役
東京大学経済学部在学中の2020年にYondemyを設立、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」の提供を開始。AIのヨンデミー先生が1人ひとりの好みとレベルに合わせてお薦めしてくれる本は、全国の図書館の在庫情報とリンクしており、近くの図書館で借りることができる。2024年5月に書籍『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』を発売
(写真:梅谷秀司撮影)
「予想以上に利用があります。当初はベータ版ということもあってプログラム上のバグも多く、正直なところ子どもが使いづらい面がありました。それにもかかわらず、毎日使っている熱心なユーザーがおり、提供を開始して1カ月後には感想文の2割がハナシテミー経由で提出されるようになりました」
開発の背景について、笹沼氏は次のように話す。
「ヨンデミーを使うと子どもたちは本を楽しく読むようになるのですが、感想を書きたいと思っているかというと課題がありました。一方、うまく感想を書けているケースでは、保護者の方が子どもに『どこが面白かったの?』『どの主人公が好きだったの?』と熱心に声かけをしてあげているご家庭が多かったんですね。でも、そうしたサポートは時間やリテラシーのある保護者でないとなかなか難しい。これと同じ支援を皆にできるといいなと思っていたところ、ちょうどLLMやAIが発展して技術的にも可能になってきたので、開発に着手したのです」