【対談前編】これからは"社会のため"を考えられる子どもにチャンスが来る 親は子どもを枠に閉じ込めたり先回りしないで
田内:仕事上で必要なものといえば、お金やITスキル、コミュニケーション力などさまざまありますが、髙宮さんが言う通りその1つに「信頼」もあって、信頼がある人は多少抜けているところがあっても、周りが助けてくれるんですよね。それに、やりたいことができたときに周りを巻き込む力も大きいです。社会でお金を稼ぐ能力も大切ですが、信頼をベースにチームづくりができる能力も強いと思いますね。
髙宮:あとは英語や外国語も大事。言語があれば世界が広がるし、日本に限らず外国の人たちとも信頼し合えたら、こんなにいいことはないと思いますね。
打ち込めるもの、読書が将来を広げる
髙宮:子どもたちにはぜひ、今後のためにも打ち込めるものも見つけてほしいです。私の場合は部活動で経験した軟式野球でした。以前関わったアメリカの教育プログラムで、子どもたちがシーズンごとに異なるスポーツに挑戦し、その中で可能性を見つけるというものがありました。多種多様な経験をする分、たくさんの引き出しがあることは強みですが、本当に苦しいときにどこを軸にして戦うのだろうとも思いました。1つのことに夢中になると、それで勝負するしかないため運用リスクは高いです。しかし、踏ん張って頑張った経験から得る成長は、非常に大きいものだと感じています。
田内:私は、子どもたちにはたくさんの人と出会ってほしいです。子どものうちは行動範囲も制限されていて、周りの大人が世の中の普通だと思ってしまうものです。たとえ知識やアイデアがあっても、それを生かしている人がいなければ単なる知識で終わってしまいます。そこで、子どものうちから本を読むことが大切になります。著者や登場人物を通して他者の考え方・生き方を知ることは、貴重な機会となるでしょう。
髙宮:本を読んで、自分自身の脳内でイメージし、仮想体験ができるなんて素晴らしいですよね。私は昔、阿佐田哲也の小説『麻雀放浪記』を読み、賭け麻雀のヒリヒリした空気にスリルと興奮をおぼえました。ここで、人が麻雀で破滅していく姿を学んだからこそ、いつかのカジノで大損せずに済んだのかもしれません(笑)。
→続きを読む:【対談後編】子どもたちには、お金を稼げるのは「誰かの役に立つから」だと伝えたい
(文:酒井明子 編集部 田堂友香子、撮影:梅谷秀司)
東洋経済education × ICT編集部
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