「またトラ」でサイバーセキュリティ政策にも影響 安全保障と経済活動のバランスは簡単ではない
NSOの主な顧客は、各国の政府機関や軍、警察組織。建前として各国裁判所の令状や政府の許可が前提となるビジネスだが、法的にもグレーな存在・ビジネスといっていい。
バイデン政権では、スパイウェアは国家安全保障の脅威になるとして、規制対象となっている。しかし、近年、グローバルでスパイウェアを手掛ける企業が増えており、とくに中国においてはスパイウェア産業がすでに成立しているとされる。中国では各省など地方自治体が犯罪捜査・反体制分子の監視に利用しているという。
トランプ政権では、アメリカでもスパイウェアの規制を緩和する動きを指摘する識者がいる。ビジネス視点では、犯罪捜査のための新しい市場という見方ができる。
バイデン政策の見直し「セキュリティより競争力か?」
トランプ政権は、共和党の政策として、産業界を支援して市場を拡大させたい狙いがある。自国のエネルギー産業や自動車産業を強化するため、例えば、脱炭素政策を見直すとしている。
一方で、自動運転やAIなど新しい市場に対して、アメリカ主導での拡大も進めている。そのため、EVであってもアメリカ国内生産であれば優遇措置を講じる構えも見せている。
サイバーセキュリティ分野に対しても、業界の意向を汲む形で民主党政権下のガバナンスや規制を見直そうとしている。
バイデン政権でCISA長官に就任したジェン・イースタリー氏は、すでに2025年1月20日に辞任することが決まっている。アメリカにおいて与党の交代で閣僚や高官が入れ替わるのは普通だ。イースタリー長官は、CIRCIA法案にもかかわっている。2024年8月には、「ソフトウェア業界は脆弱性という名前で、バグ(製品の欠陥)を放置している」と発言し、ソフトウェア業界の品質管理に苦言を呈している。
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