トランプ勝利で「日経平均4.2万円」が早まる可能性 衆院選、日銀会合、大統領選、FOMC後の日本株

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移民抑制策(強制送還を含む)も同様に、インフレ再加速を想起させている。

新型コロナ期において55歳以上の年齢層で大量の退職が発生し、それが極度の人手不足と賃金の異常値的上昇をもたらした。この労働供給側の問題を緩和したのは、安価な労働力としての不法移民である。

そうした労働供給が減少すれば、インフレが再加速してもまったく不思議ではない。労働集約型の宿泊・飲食、運輸、建設などに直接的影響が及びそうだ。

以上がトランプ・トレードの概要である。

他方、筆者はトランプ氏のFRBに対する態度が豹変する可能性に注目しており、もしそうなればドル安圧力が発生すると予想している。今回の選挙期間中にトランプ氏がFRBに利下げを迫ることはあまりなく、大統領とFRBの関係が中心的話題となることはなかった。

さもトランプ氏が丸くなったかのようであったが、前回の大統領任期中、民主党員で利上げを実施したイエレン前議長を事実上、更迭したことや、利上げを継続したパウエル議長をののしっていたことを思い出す必要があろう。

金融政策にあまり介入しなかった背景

ではなぜ、トランプ氏はFRBの金融政策にあまり介入しなかったのだろうか。

それは至極当然、選挙期間中の利下げは(民主党の弱点であった)インフレの沈静化に民主党が成功したことを象徴してしまうほか、株高となり民主党の追い風になるためだ。こうして考えると、大統領選を通過したトランプ氏が待ってましたとばかりに、FRBに利下げを迫る展開が浮かび上がる。

そうした中、FRBは11月FOMCで予想どおり0.25%ポイントの利下げを決定したが、12月FOMC以降の利下げについては「具体的な引き下げペースや最終的な着地点は入手するデータ次第」として明言を避けた。

もし12月FOMCで利下げを見送る姿勢を示し、株価が下がるようなことがあれば、トランプ氏の逆鱗に触れてしまうのではないか。同氏のFRBに対する罵声が利下げ圧力、つまりドル安(円高)圧力となる蓋然性は相応に高い。

なお、今回の大統領選は日銀の利上げ確率を高めたと判断される。

日本国内の賃金・物価が日銀の想定どおり、すなわちオントラックで推移する中、足元の円安は物価の上振れリスクを増幅させている。個人消費に前向きな動きが観察される中、株価も上昇傾向にあるならば、12月に「様子見」を選択する理由に乏しい。

以上を踏まえ、筆者は年明けまでの日経平均株価は、トランプ・トレードの継続により堅調な推移を見込む。9月21日の記事で示したとおり、2025年前半に日経平均が4万2000円程度に到達するとみているが、トランプ減税延長の現実味が増したり、関税の引き上げが穏健なものになったりすれば、それよりも前に達成される可能性が高まる。

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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