トランプ勝利で「日経平均4.2万円」が早まる可能性 衆院選、日銀会合、大統領選、FOMC後の日本株
そして10月31日には日銀の金融政策決定会合があった。展望レポートで示された物価見通しは、7月対比でさほど変化がなかった。
従来型の思考様式に基づくと、「見通しが上方修正されないならば利上げはない」となる。だが日銀は、経済・物価が(日銀の)見通しに沿って推移することを「オントラック」と表現しており、それを事実上、追加利上げの条件としているため、今回の会合を経て「12月の利上げ確率が高まった」と読むべきであろう。
絵に描いたような「トランプ・トレード」
そして11月5日のアメリカ大統領選。結果はおおむね金融市場参加者の想定どおりであった。すなわち大統領選はトランプ氏の勝利、議会は共和党が上院の過半を獲得、下院も共和党優勢と伝わっている(日本時間7日正午時点)。
選挙から一夜明けた6日のアメリカ金融市場は株高、金利上昇、ドル高という絵に描いたような「トランプ・トレード」が観察された。ここで改めてトランプ・トレードの概要を整理したい。
まず株式については、トランプ氏の掲げる大規模減税に対する期待感が大きい。2025年末で失効する「トランプ減税」の延長、法人税の追加的引き下げによって主に構成される減税は、その規模が今後10年間で10.4兆ドル(約1600兆円)、GDP比2.8%に及ぶとされる。これが株高の原動力であることは言うまでもない。
金利上昇・ドル高は、インフレ再加速を見込んだ動きである。トランプ氏の掲げる関税引き上げは、ようやく落ち着いた財物価の上昇に直結しうるため、素直にインフレ要因と理解される。
対中関税60%、それ以外の地域に対して一律10%、メキシコ工場から出荷される自動車に対して200%という過激な案には、政治的な演出も含まれていると推察される。ただ、米中の経済的分断が加速する中、少なくとも中国製品については引き上げが実施される可能性が高い。
インフレ再燃となれば、FRB(連邦準備制度理事会)が利下げを休止することで金利が上昇し、内外金利差拡大を通じて主要通貨に対してドル高が進むという展開が多くの投資家に想定されている。もちろん大型減税による景気拡大期待が、債券から株式への資金移動を促す面もある。
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