石破新政権にいっそ忘れてほしい「デフレ脱却」 今や国民が求めているのは「インフレ脱却」
付け加えるとすれば、政府の旗振りで生まればかりの新しい投資家層を”手なずける”意味でも「新NISA、iDeCoへの課税強化は毛頭考えていない」といった趣旨は常に付言されるはずだ。
では、岸田政権のように金融所得課税は「そのままお蔵入り」という展開になるだろうか。筆者はそこまでの確信を持っていない。
「持てる者」から「持っていない者」へ
自民党総裁選後の会見で石破氏が「本当に困窮している方々に適切な対策を打っていきたい」と述べていたことにも表れるように、格差是正を念頭に「持てるに者に課税し、持っていない者に配分する」というのが石破氏の基本的な政治姿勢である。法人増税も金融所得課税も「持てる者」からの吸い上げだろう。
石破氏の代名詞にもなっている「地方創生」も、東京を中心とする「持てる者」から地方という「持っていない者」への分配である。
とはいえ、10月27日の衆議院選挙を勝利しても、石破首相が世論の反感を買いそうな増税や歳出削減の類を相次いで打ち込めるとは限らない。2025年7月頃には参議院選挙の実施が控えている。
つまり、あと9カ月程度は世論、ひいては党内求心力を保つ必要がある。盤石ではない党内基盤は総裁選の辛勝からもうかがえる実情であり、各方面に気を使いつつ政策選択をせねばならないだろう。必然、「石破カラー」なるものは出しにくいのではないかと察する。
周知の通り、立憲民主党代表が野党の中では相対的に人気のある野田佳彦・元首相であることも政府・与党の失点を招きやすい材料になるかもしれない。
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