スティーブ・ジョブズ Ⅰ・Ⅱウォルター・アイザックソン著/井口耕二訳 ~技術とリベラルアーツの交差点に立つ

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その翌年、スティーブはアップルを追放され12年も戻らなかった。その間、年々つまらなくなっていくアップル製品に嫌気がさしながらも、ずっと忠実なMacユーザーであり続けた。待ち続けた甲斐はあった。彼が戻ってくると、iMac、iBook、iPod、iPhone、iPadという革命的商品が次々に市場に登場した。そのたびに、僕たちは「ウワォ」と叫んだ。本書にはその商品開発の背景が彼の心情とともに克明に描かれ、「ああ、そういうことだったんだ」と膝を打つ連続なのである。とくに、iPodからiPhone、iPadにいたる流れやピクサーの裏話が圧巻である。

本書はアップルファンでない人が読むと、単なる奇人変人の記録にすぎないかもしれない。しかし、これは技術とリベラルアーツの交差点に立った人物の真に偉大な伝記なのである。その価値にはファン以外にとっても大きな意味がある。

(週刊東洋経済2011年12月17日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。


Walter Isaacson
ジャーナリスト、伝記作家、アスペン研究所理事長。1952年生まれ。米ハーバード大学で歴史と文学の学位を取得後、英オックスフォード大学で哲学、政治学、経済学の修士号を取得。サンデータイムズ、『TIME』編集長、CNNのCEOを経る。

 

講談社 1995円 �445ページ

  

講談社 1995円 �430ページ

  

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