「土日の部活動を減らしたい」中高生の本音が判明、望ましい運動のあり方とは 地域移行、子どもたちの声は届いているのか?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

部活動の方針によって活動内容は変わってくるが、子どもたちの健康を守るために、こうした指標は参考にしたい。

現在、部活動の地域移行が推進されている。今回の調査によると、この動きを知っている保護者は全体の3割程度、当事者である中学生の保護者で4割程度だったという。「この数字が少ないのか多いのかの判断は難しいところですが、地域移行の課題はある程度整理され、とくに今年に入って取り組みが進んでいる地域は増えていると感じます」と鈴木氏は話す。

しかし、地域移行は、これまで運営主体などの受け皿の問題、指導者の問題、財源や施設の問題などの枠組み整備に関する内容が議論の中心となっており、「子どもたちの意見を聞くことができていない自治体が多い」と鈴木氏は指摘する。そのため、今後は子どもたちの部活動に対する意識やニーズを踏まえた取り組みが求められると、鈴木氏は強調する。

「今回の調査結果で示された子どものニーズを考慮すると、休日の活動日数や時間を減らす必要はあるでしょう。兼部や文化部との掛け持ちも可能にするなど、選択肢を提示してあげることも大切ではないでしょうか。学校の先生方にも、部活動の活動日数や時間、今の指導内容が本当に適切なのか、改めて子どもたちの意見を聞いたうえで見直しを図っていただけたらと思います」

無理をして部活動の顧問を引き受けている教員も多いと聞く。とくに活動日数や時間の削減は教員の働き方改革にもつながる部分であり、子どもの声と一致するならばなおのことすぐにでも見直しが必要だろう。

重要なのは「大人を含めた地域スポーツ」という視点

都内在住の小学6年生の男児は最近、友達同士で「中学生になったらどの部活動に入るか」が話題に上るという。しかし、希望のスポーツが地元の公立中学校の運動部にないという不満がよく聞かれ、自身も「土日は趣味の時間に充て、平日は運動部と文化部を兼部したい。でも、活動時間が長く指導が厳しい運動部ばかりのようで、選ぶのが難しい」と話す。

鈴木氏が指摘するように、選択肢の少なさが運動の継続・実施のネックになっているようだ。多様なニーズに応えるべく、最近では勝ち負けにこだわらずほかの活動と両立しやすい「ゆる部活」をつくる学校もあるが、そのような従来の枠にとらわれない見直しも柔軟に行われるべきだろう。

しかし今後、部活動そのものが、少子化に伴いさらに減少していくことが予想される。将来的に子どもの運動・スポーツ環境を確保するために必要なことについて、鈴木氏はこう語る。

「部活動に限定した捉え方をするのではなく、大人も含めた地域スポーツとしてどのように考えていくかという視点が重要になってくるでしょう。例えば、総合型スポーツクラブのあり方やスポーツ少年団の対象範囲を見直すといった議論も必要になってくると思います」

(文:國貞文隆、編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:m.Tira/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事