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「利上げ完了」感のECBを引き裂くイタリアの不穏 インフレ抑制か、利回り急騰の「脆弱国」配慮か

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FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)を追いかけるように利上げを進めてきたECB(欧州中央銀行)が立ち止まった。インフレ再加速と脆弱国の利回り急騰という両面のリスクを抱える。

ECBがはらむ路線対立とは(写真:Bloomberg)

10月26日に行われたECB(欧州中央銀行)政策理事会は、2022年7月に利上げに着手して以来、11会合ぶりに利上げの見送りを決定した。2023年7月以降、ECB政策理事会はインフレよりも景気に軸足を置いた政策運営にシフトしつつあったが、今回の会合ではっきりとその路線が確認されたと言える。

現行の預金ファシリティ金利(4.00%)はECB設立以来で過去最高であり、この引き締め効果を見守るモードに入ったと考えるのが適切だろう。

政策金利は中立金利に「すでにある」

これは声明文からも理解できる。9月から10月にかけては以下のような変化が見られた。

【9月】Based on its current assessment, the Governing Council considers that the key ECB interest rates have reached levels that, maintained for a sufficiently long duration…

【10月】Based on our current assessment, we consider that the key ECB interest rates are at levels that, maintained for a sufficiently long duration…

9月の声明文では現在完了形を用いて中立金利(経済を冷ましも熱しもしない金利)水準への到達が表現され、話題になった。これに対し10月は現在形を用いて、すでに中立金利水準にあって、それがインフレ収束に寄与するというニュアンスに変わっている。

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