中学受験まで残り3カ月、志望校合格のための「追い込み戦略」によくある誤解と極意 過去問は10年分ではなく「10回分」で問題ない

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第一志望校の過去問は「10回分」、解き方と復習の仕方

次に、入試過去問の解き方と、復習の仕方についてお伝えします。

入試過去問の解き方

「過去問を何年分解けばいいのか」は、受験生の保護者がよく悩まれることでしょう。第一志望の過去問については「10年分」が一般的とされますが、ここで注意したいのが、「10年分」とは10年間の過去問を解くのではなく、「10回分」を解けばよいという点です。学校の中には、1年のうちに2回目入試、3回目入試を設けているところがあります。そのような学校は、例えば直近5年間の1回目入試と2回目入試を解けば十分です。また、まったく同じ過去問を3回解いても、3年分とカウントすることができます。5年以上前になると問題の傾向が変わっている可能性が高いので、あまり遡って解く必要はありません。

「第一志望の過去問は10年分」というのはあくまでも一般論です。過去問はその学校の出題傾向をつかむには最適な教材ですが、別の見方をすれば「本番では出ない問題」ともいえます。必ずしも10年分解かなくても対策不足にはなりません。自分の点数とその年の合格最低点とのギャップが大きかった場合も、さらに過去問を数多く解くより、浮かび上がった理解不足の単元を塾のテキストや市販教材で復習するほうが合格に近づきます。

なお、お子さんにはあらかじめ、「第一志望に近い学校の過去問で合格最低点とのギャップが大きくても、ショックを受けないように」と伝えてください。そもそも、過去問の得点が年内に合格点を超えることはまずありません。最低点とはいえ、過去の受験生が入試当日に取った点数ですから、入試の数カ月も前にはなかなか取れませんからね。

第二志望以下の学校についてもお伝えしておきましょう。第二志望の過去問は5年分、第三志望以下の学校は3年分を解くのが一般的です。これもあくまで目安なので、もっと少ない回数でも問題ありません。大事なのは解いた年度の多さではなく、過去問を解くことでその学校の出題傾向をつかむこと、そして理解不足の単元を浮き彫りにすることです。

入試過去問の復習の仕方

次に、過去問の復習の仕方についてです。目的は、志望校合格と現状のギャップを数値化して本番までの学習計画に反映することです。まず志望校の合格最低点から、自分の過去問の点数を引きます。例えば、志望校のある年の合格最低点が、4科目400点満点中250点だったとしましょう。合格最低点が公表されていない時は、満点の6~7割とします。その過去問で自分が150点だった場合、合格最低点と現状の点数差は100点です。この100点を、4科目それぞれにどう割り振るかを決めます。
具体例として、過去問で取った合計150点の内訳が、

算数 50点
国語 30点
理科 40点
社会 30点

 

だった場合、あと100点を取るには平均して各科目25点アップしなければなりません。しかし、入試問題で50点を75点まで上げるのは結構大変です。それであれば、30点を60点まで上げる方が比較的楽です。というのも、偏差値50ほどの学校の入試問題は、その6割程度が基本的な知識の組み合わせで解ける問題だからです。

そのため、一般的には得意を「超得意」にするより、超苦手を「やや苦手」くらいにするほうが現実的です。とは言え、「社会はもう30点でいい、その代わり何がなんでも算数で80点取るんだ!」と強気に攻めた姿勢で勉強するのもアリです。大事なのは、入試本番までに各科目あと何点ずつ上乗せするか、そのために何をどう勉強をするのかを決めて、行動に移すことです。

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