日ハム新球場「新駅計画」で露呈、JR北海道の限界 大量離職でノウハウ流失、建設費が高額に

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当初、JR北海道が2019年12月に発表した北海道ボールパーク新駅の概要は、新球場に隣接したJR千歳線の曲線区間に上下線共用の島式ホーム1面を設置し、改札口のある駅舎との間を1つの跨線橋で接続。ホームと接した線路の外側には、特急列車や快速列車、貨物列車を通過させるための通過線を敷設。北広島・新千歳空港方面には札幌方面からの臨時列車の折り返しを行うための引き上げ線を敷設し、駅の全長は500mという大掛かりなものだった。

総工費は80〜90億円で工期は7年とされたが、その後、JR北海道は北広島市に対して、人件費や資材価格の高騰を理由に当初のおよそ4割増しとなる「最大で125億円」を要求。北広島市は「その工費での合意は難しい」としてJR北海道に見直しを求めることとなった。

地元経済誌からは、「工費の大部分が通過線や引上げ線にかかる軌道工事費」となっており、それに伴う架線や信号工事も含めて建設費が膨れ上がっていることが指摘されていた。こうした特殊な工事は、基本的にはJR北海道のグループ会社の受注が前提となる。

JR北海道が主張する過密ダイヤは本当か

JR北海道は、新駅の通過線と引上げ線の必要性について千歳線の過密ダイヤを理由に挙げていた。

2019年4月に発表された「JR北海道グループ長期経営ビジョン 未来2031」では、千歳線の状況について8時台と16時台、17時台についてこれ以上の旅客列車の増発は困難な状況にあると説明。具体的には、ボールパーク新駅予定地を含む札幌―南千歳間には、快速エアポートのほか、普通列車、特急列車、貨物列車と4つの異なる種別の列車が運行されていること。平和―新札幌間に存在する札幌貨物ターミナル駅から千歳線への合流部について、貨物列車が入線する場合に札幌方面の下り線と平面交差することからダイヤ設定上の制約があることがその理由だ。

最新の2023年3月改正のダイヤでは、一番本数の多い平日8時台に片道11本(うち特別快速1本、快速4本、特急2本、普通3本、貨物1本)が設定されており、列車間隔の平均は5.4分だった。

しかし、JR北海道の札幌―南千歳間よりも過密かつ複雑なダイヤで列車の運行を行っている路線は多い。例えば、名古屋市の名鉄名古屋駅では、札幌駅全体の約1.5倍の列車本数があるにもかかわらず、これを2本の線路と3面のホームのみでさばいている。一番、本数の多い平日8時台には豊橋方面に片道28本(うち特急ミュースカイ2本、特急7本、快速急行1本、急行10本、準急3本、普通5本)が設定されており、列車間隔の平均は2.1分だ。

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