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習近平政権の不動産危機「抜本策」先送りは危うい 深刻な不況への対応の鈍さは「日本化」を招く

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北京郊外で碧桂園が開発中の物件。優良企業とされた同社の経営危機は不動産不況の深刻さを示す。(写真AP/アフロ)

中国の不動産不況が長期化、深刻化している。政府は2022年末、ゼロコロナ政策を撤廃して経済再開に舵を切り、不動産に対する金融面のサポート策も打ち出した。その効果もあって不動産販売面積は、2022年の24%減から2023年1~4月にはほぼ前年並みまで持ち直していたが、その後、再び低迷、1~8月は7%減となった。

新築住宅価格も再び下落に転じたほか、不動産開発投資は1~8月で前年比9%減となった。昨年都市封鎖などで内見ができなかった人たちのペントアップ需要は早期に剥げ落ち、小春日和は長続きしなかった。

政府は住宅ローン金利引き下げ(2021年末5.6%→2023年6月末4.1%)、住宅ローンの最低頭金引き下げ、購入制限の緩和・撤廃などによって住宅需要喚起を図ってきた。過去の不動産市場の調整局面では、政府がこれらの策を打てば、すぐに回復したが、今回はあまり効き目がない。それは、家計が不動産デベロッパーの経営に不安を感じているからだ。

中国では、住宅販売の約9割が予約販売であり、予約購入しても引き渡しは2年以上後になる。その間にデベロッパーが破綻すれば、住宅が引き渡されなくなるおそれがある。実際、建設中の住宅の引き渡しが滞る例が少なくない。

上場デべの2割が実質債務超過か

デベロッパーの経営は一段と厳しくなっている。すでに経営危機に陥っている中国最大のデベロッパー、中国恒大集団の債務超過額は、今年6月末13兆円まで拡大した。8月、大手の碧桂園がドル社債の支払いを期限までに行えなかった。同社は優良デベロッパーとみられていたにもかかわらず、上半期に約1兆円の赤字に転落した。

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