──『Winning Alone』や『諦める力』など多くの本を出版されていますが、今回は初めてご自身で文章を執筆されたそうですね。
上達や学習は僕にとって大事なテーマで、いつか1冊にまとめたいと思い続けてきました。競技から退いて10年経つ中で徐々に構想が固まり、今がそのときかもしれない、今なら書けそうだ、と。
個人的な夢もありました。宮本武蔵が剣術の奥義を記した『五輪書』のような本を書く。僕が陸上競技で経験したことや、その後出会った多彩な熟達者との対話から得たものの、いわば集大成です。
もう1つあったのが、「学びのプロセス」と「人間の探求」をセットで提示したいという思いです。高度な技術を獲得するための学習と、自分という人間自体を高めていくことは、無関係の事象ではなく実は同時に起こっているのではないか。この感覚を、誰もが使える学習論に組み込もうと考えました。
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