元イェール大学助教授の英語塾「J PREP斉藤塾」、データ分析で教材作成の実力 クラス無学年制、音声学習やICT活用にも注目
英作文の宿題は日本語母語講師と英語母語講師がダブルチェックを行い、「入試の解答として妥当か」「自然な英語表現になっているか」という2つの観点で添削指導を行う。宿題にかかる時間は、読解・文法・英作文を含めて1週間当たり4時間が目安だそうだ。
ほかに「JPREP Scholars」のプログラムでは、IELTSやTOEFL、SATなどの対策に取り組める。「留学時に必要な試験にはいっさい日本語が出てきません。それならば英語で学ぶほうが効率的」であることから、授業はオールイングリッシュ。受講に当たっては英検準1級相当以上の英語力が前提となるが、海外大学の出願に必要なエッセイの添削指導などが受けられるという。
学校の英語教育で「ローマ字」を教える意味がわからない
音声重視の学び方の導入やICTの活用など、J PREPでは新しい取り組みが目立つ。斉藤氏は以前、文法重視の英語教育を行う塾で講師を務めており、当時の「本当にこれが最善の英語教育なのだろうか」という感覚が、新たな実践に挑む原動力だという。
「日本の英語教育は従来、異なる文化的背景を理解することに主眼が置かれており、英語で読んだり聞いたりした内容を理解できれば問題ないとされていました。しかし、これからは自分の意見を発信する力も重要です。英語教育は話す、書く、聞く、読む、のスキルに加え、幅広い教養や論理的思考力に裏付けられた知性を身に付けられる場でもあるべきです」

最後に、学校における英語教育の課題を聞くと、斉藤氏は「ローマ字を教えるのがよくない」と語った。
「そもそもローマ字は、外国語を母語にする人に日本語を教えるためのもの。キーボードのために学ぶ分には問題ないですが、英語教育はフォニックスに統一すべきだと思います。教員に限らず、日本語と英語の音声上の違いに無頓着な講師が多いのは問題です。日本語の発音は母音5種類、子音13〜16種類とシンプル。それに対し、英語は母音15種類、子音は24種類と複雑で、英語の音を日本語でまねすることはまず無理なのです。この事実を直視せず、日本語の感覚のままカタカナ英語でやり過ごそうとする人が多い点は課題でしょう」

(文:安永美穂、編集部 田堂友香子、注記のない写真:尾形文繁撮影)
東洋経済education × ICT編集部
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