元イェール大学助教授の英語塾「J PREP斉藤塾」、データ分析で教材作成の実力 クラス無学年制、音声学習やICT活用にも注目

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英語で多様なテーマを学ぶCLIL(Content and Language Integrated Learning)では、オリジナルのテキストと動画を作成。「東京の交通事情」や「日本と世界の住宅比較」という身近なテーマから、心理学や社会学、コンピューターサイエンスなど学問の入門までを視覚情報と英語音声で学ぶ。海外で日本について聞かれた際やディスカッションを行う際に必要な語彙や視点を身に付けられるよう、日本の文化や歴史、民主主義といったテーマも扱う。

「グローバル社会において、英語を学ぶ理由は合意形成です。昨今の戦争でも痛感しますが、子どもたちには、暴力ではなく話し合うことの大切さを理解してほしい。そのツールとして英語を使いこなし、世の中のあるべき姿について自分の頭で考え、必要な活動に自ら参加する姿勢を持つ人に育ってくれることが、私たちの英語教育が目指すゴールです」

J PREP ではICTの活用にも積極的で、塾生の学習管理ポータルサイトにはAIツールを導入。自宅学習での音読やスピーキングの発音の正しさをAIが自動判定し、講師は履歴から生徒一人ひとりの習熟度を把握できる。スピーキング課題では、発話の様子を録画してサイト経由で提出すれば講師からフィードバックが受けられる。

学校では、電子黒板やタブレットは充実していても、生徒個人の成果物を評価し蓄積していく仕組みはなかなか見ない。斉藤氏は「うちの音読管理の仕組みも、本来は国が学校に用意すべきものだと思う」と話す。

教材作成にもICTを活用しており、過去30年間の大学入試における出題語彙の難易度を分析し、最新の傾向に合わせた指導に生かしている。さらに、各大学入試と英検など民間試験の級数との難易度の相関も調べられる。「データ分析と教材作成が連動している点は特徴的でしょう」と斉藤氏。一部の作問においては、単語や文体を指定してChatGPTによる英文の生成を行い、それを講師がブラッシュアップすることで、より多角的な視点を盛り込むことも可能になった。

(画像はJ PREP斉藤塾提供)
(画像はJ PREP斉藤塾提供)

「今後は個別最適化を目指します。例えば、個々人の未修得単語を使った例文も出してあげられるでしょうし、AIで動画作成が可能になれば、文法や語彙による細かなニュアンスの違いをアニメーションで簡単に説明することもできます」

留学用コースの「JPREP Scholars」はオールイングリッシュ

では、授業の具体的な内容を見てみよう。

小学5年から高校1年を主対象とする「英語 コア・カリキュラム」の授業は週1回3時間で、まずは単語や例文の小テストを実施。入門・初級(Level1〜2)では、2時間が日本語母語講師による文法・発音・作文の指導、1時間が英語母語講師による会話演習・CLIL指導だ。中級・上級(Level3〜4)では、1時間30分が日本語母語講師による文法・読解指導、1時間30分が英語母語講師によるCLIL指導・作文指導となる。授業や課題をしっかりこなせば、高校1年までに大学入試水準の英語力に到達できるという。

高校2年・高校3年の「国内大学受験 英語カリキュラム」では、英語母語講師によるリスニング、ディスカッション、自由英作文の指導1時間に加え、日本語母語講師による文法、和文英訳、英文和訳、長文読解、要約の指導が行われる。高校2年では例えば、「ハーバード白熱教室」でおなじみのマイケル・サンデルの著書『Justice:What’s the Right Thing to Do?』をすべて読み、英語要約、英問英答、ディスカッション、プレゼンテーションもするという。「本一冊をまるまる読むことはぜひやってほしい。大学受験用に加工された『箱庭英語』ではなく、世界の権威が本気で書いた文章を体感してほしいのです」と斉藤氏は語る。

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