さる先生が実践、ChatGPTなど生成AI活用で「学校の授業と働き方問題」に大変化 文科省「生成AIガイドライン」踏まえた活用とは
しかし、ChatGPTのようなAIを活用すれば、これらのデータを短時間で整理し、分析することが可能となります。Formsで回収しテキストデータをExcelでダウンロードし、ChatGPTに「ポジティブとネガティブに分けてテーブルにしてください」といった指示を出すことで、多くのテキストデータを分類・整理することができます。
研究主任として、教員や子どもたちの意見をアンケートで回収して分析する仕事は、これまで2〜3時間かかかっていましたが、ChatGPTを活用することで、ものの数分でできるようになりました。生産性の向上を強く感じます。
また、時間割の作成や家庭訪問の日程設定など、教職員の日々の業務もAIによって大幅に効率化されることも予想されます。こういった複数の学年やクラスにまたがる調整業務は、学校の業務の中で代表的なボトルネックとなっていました。簡単に言うと「こちらを立てればこちらが立たず」といった業務をこなすことは、人間にとって非常に困難なものでした。
大規模校で高学年の担任をしていた頃の話です。4クラスの学校で時間割を組むとなると、体育館や家庭科室といった特別教室の割り当て、音楽の専科の先生の都合、学年の教員の出張など、ありとあらゆる要素が絡まり合うので、一筋縄ではいかず、残業の要因になっていました。19時ぐらいまで4人で途方に暮れていたことをよく覚えています。しかし、AIなら瞬時に適切な組み合わせを導き出せるので、「こちらを立てて、あちらも立てる」ということもできるようになるでしょう。
懇談日程などは、Formsで保護者から希望日を回収すれば、住所や兄弟関係なども考慮したうえで、全校児童分が自動的に生成されるようなことも可能になるのではと考えています。
AIで授業をアップデートする
世間の耳目を集める中、7月4日に「初等中等教育における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が文科省よりリリースされました。
結論から言うと、「AIの活用は学校教育では禁止」ではなく、「慎重を期したうえで学校教育での活用を目指す」 という方向だといえます。
授業での活用については以下のように述べられています。
こうした考え方を踏まえつつ、私が実践した画像生成AIを活用した授業の例を紹介します。使用したものはCanvaのText to ImageとMagic Editという画像生成AIです。まずはその特徴を説明します。例えば、CanvaのText to Imageで「京都 舞妓 ロボット」と指示すれば、下記のような画像が生成されます。

(写真:坂本氏提供)
そして、生成された画像に修正を加えるときには、Magic Editを使い、指定した場所に指示を出します。ここでは舞妓ロボットの目と手元に対して、下記のような指示を出してみました。

(写真:坂本氏提供)