世界的に規制強化、「プラゴミ大国」日本の舵取り 条約交渉の政府責任者に、日本の戦略を聞く
――プラスチックゴミによる環境汚染の現状についてご説明ください。
環境汚染は、地球温暖化、生物多様性の危機と並ぶ環境分野における3大危機の一つだ。環境汚染のうちで「プラスチック汚染」は非常に大きなポジションを占めている。海岸へのプラスチックゴミの漂着や、クジラや魚が誤って食べてしまう問題、さらには未解明な部分が多いものの、人体への悪影響も心配されている。
そうした中で、汚染を根絶するための法的拘束力を持った条約を制定すべきだという機運がここ数年の間に急速に高まってきた。昨年3月の国連環境総会で、2024年末までに条約の制定のための準備作業を完了するという目標が決まったことは、プラスチック汚染問題への対応が一刻の猶予もない緊急課題であることを物語っている。
多くの国の参加と野心的な目標が重要
――5月29日から始まる今回の会合で目指すべきことは。
昨年11月のウルグアイでの第1回会合がキックオフミーティングだったのに対して、今回のフランスでの会合では条約制定に向けて具体的な中身の議論に入る。年初から各国は意見書を提出しており、それを基に国連環境計画の事務局が「オプションペーパー」という名称で各国から出された意見書を取りまとめた書類を発表している。
今回の会合ではそのオプションペーパーを基に、今後制定する条約にどういった要素を盛り込むかについての意見をできるだけ集約することになる。今回の交渉で議論が煮詰まれば、次回の第3回会合では条約のための「ゼロドラフト」(たたき台)を議論する段階に入る。
――日本政府代表団のリーダーとして、条約のあるべき姿をどのように考えていますか。
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