平成金融危機の苦難が残した日本の制度はガラパゴスなのか。
リーマンショック時に巨大金融機関を公的に救済したことが国民の非難を浴び、先進諸国の金融規制改革で公的資金は封印された。
しかし今回、銀行破綻が金融危機に発展するのを防ぐため、アメリカでは金融機関に流動性を供給する緊急措置が講じられた。スイスはクレディ・スイスの救済合併に際し、流動性に政府保証を与えた。どちらも国民負担に直結するものではないが、公的資金の封印は揺らいだ。
金融規制改革において、とくに巨大金融機関の破綻処理については、株主および債権者による損失吸収が主軸とされた。それを大まかに整理したのが下図だ。
アメリカは公的資金の使用を禁じる。EU(欧州連合)は公的資金投入を例外として認めるが、株主・債権者の損失負担を条件とする。
一方、日本は国際機関からクギを刺されながらも、公的資金による資本増強と流動性供給の手段を堅持する。2008年のリーマンショックに先んじて、日本は1990年代後半に平成金融危機の辛酸をなめた。これらの制度は危機対応の迷走を経て手にした貴重なツールという位置づけなのだ。
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