有料会員限定

人間の思考さえ変われば"コミュニズム"は可能だ すでに家庭や友人関係の中で実現されている

✎ 1〜 ✎ 390 ✎ 391 ✎ 392 ✎ 最新
拡大
縮小

それでは斎藤幸平氏(東京大学准教授)が提唱する脱成長コミュニズム(共産主義)がどのようなものであるかについてみてみよう。

ただし、とても残念なことに、マルクスは「脱成長コミュニズム」論を、まとまった形で展開していません。その限りで、21世紀に生きる私たちはマルクスとともに考えつつ、しかし同時にマルクスを超えて、新しい社会のビジョンを作り出す必要があります。(この点については、私の『人新世の「資本論」』も是非あわせて読んでみてください。)。(斎藤幸平『ゼロからの「資本論」』NHK出版新書、2023年、197ページ)

と斎藤氏は強調する。

実は現実に存在した社会主義(ソ連型社会主義=スターリン主義)も、マルクスを超えてつくられた。マルクスが考えたのとは異質の、鉄の規律によって結び付いた陰謀団型で少数者のボリシェヴィキ(ソ連共産党)が武装蜂起によって権力を奪取した。そしてプロレタリアート独裁の名の下で暴力を背景にして権力を維持した。

個人的所有の再建

斎藤氏はマルクスの『資本論』に立ち返ってコミュニズム像を確定しようとする。

次ページヘーゲル的な用語である「否定の否定」とは
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内