子育てしながら教員「ママ先生」、弱音吐けない教育現場の過酷なワーママ事情 一日中「生身の人間」育てるストレスに処方箋は

とはいえ、誰かに弱音を吐きたくても、職員室では誰が聞いているかわからず、また同僚にも自らの失敗や愚痴を言いにくい雰囲気がある。結果、不満や不安のはけ口がなくて心の病気で休暇を取る教員も非常に多いそうだ。
「先生は生身の子どもを相手にしているので、思いどおりにいかないことだらけで当然。それを少しでも吐き出せればよいのですが、自分の中にモヤモヤをため込んだまま日々のタスクが積み重なるので心が限界にきてしまうのです。とくにママ先生は定時にすぐ帰らなければならず、弱音を吐く時間すらないというのが現実です」
ママ先生のメンタルヘルスを整える具体策
モヤモヤを吐き出すには、コミュニティーに参加するのも一つの手だという。例えば、明治大学の心理臨床センターが運営する教員のサポートグループ、通称「教師を支える会」では、いま抱えている問題を教員同士がお互いに相談したり、その解決方法をグループで模索したりするサポート活動を定期的に行っている。
わが子はもちろん、学校の子どもたちや保護者のことを考えるあまり、自分の体調管理やメンタルケアを後回しにしがちなママ先生。最後に、東氏からママ先生たちにアドバイスをもらった。
「ママ先生は、仕事でも家庭でも生身の子どもを相手にしており、日々膨大なエネルギーを消費しています。とくに先生になる人には頑張り屋さんが多いので、どうしてもストレスをためがちです。そこでぜひ、毎月のお給料のいくらかを自分のために使ってください。私たちは、自分のケアが足りなくなるとイライラしてくるものです。よく、お母さんから『子どもを感情的に怒ってしまいます』という相談を受けるのですが、その原因は“ご自愛不足”。『あなた自身が悪いのではなく、あなたが自分の時間を取れていないだけなんですよ』と伝えています。後ろめたさを感じる必要はないので、自分を楽にするものを見つけましょう」
東氏は「お金で解決できるものはどんどん取り入れてほしい」と話す。例えば、自分の時間を捻出するために家事をアウトソーシングするのも有効だ。
「先生という仕事を長く続けるためには、職場の仲間に悩みや愚痴を言えることも大切だと思っています。教室で思いどおりにいかなかったことを『自分の落ち度だから』とため込まず、先生同士で少しでも共有し合えればストレス発散になるはずです。自分のメンタルヘルスが不安定な状態では、子どもに優しく接することができません。先生は、ご自身のメンタルヘルスを積極的に整えてくださいね」
(文:せきねみき、注記のない写真:Watto/ Getty Images)
東洋経済education × ICT編集部
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