ゼロゼロ融資で初処分、中日信金の「根深い病巣」 財務局の検査で新たな「不適切行為」も発覚

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ゼロゼロ融資をめぐり、社内調査で79件の不正を認定したと公表した中日信用金庫。しかし現役職員からは、調査手法を疑問視する声も上がる。

ゼロゼロ融資をめぐる不正で行政処分が下された中日信用金庫。職員の間で「一泊二日」と呼ばれる、別の不適切行為も発覚した(写真:共同)

「不正はもっとあるはずだ」。複数の職員は、そう打ち明ける。

東海財務局は9月30日、名古屋市に本店を置く中日信用金庫に業務改善命令を発出した。コロナ禍で売り上げが減少した企業に対する実質無利子・無担保の融資(ゼロゼロ融資)の適用対象となるよう、職員が取引先の売上高を改ざんして申請していたことなどが理由だ(詳細はこちら)。

ゼロゼロ融資をめぐる不正としては初の行政処分だ。中日信金は役職員の処分や業務改善計画の策定を表明した。しかし東海財務局による検査の過程では、ゼロゼロ融資以外の不適切行為も発覚するなど、信頼回復への道のりは険しい。

数値に疑義がある案件は「1000件以上」

中日信金は理事長をトップとする調査委員会を立ち上げ、5月からゼロゼロ融資の適用基準を満たさない案件を洗い出してきた。処分と同日に公表された社内調査結果によれば、ゼロゼロ融資の実行件数3735件のうち、職員による不正が認められたのは79件(計14億円)だった。

しかし複数の関係者によれば、中日信金が取り扱ったゼロゼロ融資計3735件のうち、申請書類に記載された売上高と、実際の取引先の売上高との食い違いなどが確認された案件は、1000件以上にのぼったという。

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