イタリアの次期首相メローニはいつ牙をむくのか 極右政党に未来を託し、EUとの関係は不安定に
9月25日に行われたイタリアの総選挙では、事前の世論調査が示唆したとおり、主要政党では唯一、現ドラギ政権を支持しなかった極右政党「イタリアの同胞」が勝利した。
「イタリアの同胞」は第2次大戦時のファシスト指導者ムッソリーニの支持者が結党したネオファシスト政党「イタリア社会運動」を源流とし、反移民や反LGBTなど排外主義的な主張も目立つ。
「暮らし」に焦点をあてて選挙で勝利
過去には欧州連合(EU)に批判的な言動を繰り返してきたが、今回の総選挙では政権奪取を睨み、EU批判を封印してきた。
EUの財政規律を守ることを約束し、ウクライナ支援とロシア制裁では欧米諸国との国際協調路線を継続する方針を表明していた。
同党を支持した有権者の多くも極右思想の持ち主ではなく、同党が公約に掲げる減税、エネルギー料金の負担軽減、子育て世帯支援など、主に国内政策を支持した。
コロナ危機やウクライナ戦争など国民の生命を脅かす出来事が相次ぎ、イタリア第一主義を掲げ、安全や暮らしを守る右派政党に期待を寄せた面もある。「イタリアの同胞」はイデオロギー色を封印し、現状に不満を抱える有権者に寄り添う政策を掲げ、支持基盤を広げていった。
イタリアでは政治が機能不全に陥った「タンジェントポリ(大規模な汚職事件)」を経て、第二共和政が始まった1990年代後半以降は、主に中道右派の「フォルツァ・イタリア」と中道左派の「民主党」が交代して政権運営を担ってきた。だが、巨額の政府債務と構造問題を抱え、1999年の単一通貨ユーロ発足後も、イタリア国民は長年、高失業や低成長に苦しんできた。
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