稲盛和夫氏のインタビューを行ったのは2013年。その日現れた氏の体は、81歳とは思えない厚みと幅があり、活力がみなぎっていた。
当たり前のことを、懲りずに何回も話し続けた
──JALの経営を引き受けた当初は、「自信がなかった」と語っていましたが。
もともと私は技術屋で、京セラ、KDDIを指揮してきたわけですが、航空事業についてはまったく無知で門外漢でした。自信なんてあるはずがなかったんですね。
ただ、企業経営の根幹部分については、知っているつもりでした。経営でいちばん大事なのは、幹部がどういう哲学、判断基準を持っているか。その基準が正しければうまくいきますし、間違えば会社は傾きます。
リーダーが私利私欲に走らず、利他の心で判断すること。要は人間として正しくあることを、経営でも考えなくてはいけませんよ、と話すことから始めました。
するとエリート幹部たちは、「なんでそんな当たり前のことを教わらなきゃならんの」という顔をする。それでも私は、「知ってはいるでしょうが、自分の身に付いていないでしょう」と、懲りずに何回も話し続けました。本当に納得してもらうまで、50回くらい話したと思います。
──京セラ流のアメーバ管理会計システムも効力を発揮しました。
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