東大・ハーバード大卒の5児の父親が「12歳以下限定SNS」を開発した訳 本山勝寛が目指す「新しい学び合いの場」とは?

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また、本山氏は当時、日本財団において全国約100拠点で子どもたちの居場所づくりに尽力していたが、コロナ禍によってイベントなどが制限され、やむなくオンラインプログラムを導入することに。しかし、これによりかえってできることが増えたほか、しだいに地域を超えて子どもたち同士でつながりたいとの声も聞こえてくるようになったという。

「こうしたニーズは今後高まると思われるのに、インターネット上で子どもが安心・安全につながりを持てる場を誰も提供していない。ならば、自分でつくろうと思いました」と、本山氏は話す。

今後は自分で考えて何かを創造し、それを発信して他者とコミュニケーションを取っていくアウトプットが大切だといわれるが、「今の子どもたちは学校でも塾でもインプットの機会が多く、ゲームや動画視聴など受動的な娯楽の時間も長い。教育的観点からも自らアウトプットをしたくなるような場にしたい」と、本山氏は考えた。

目指すのは「世界中のすべての子どもたちに、つながりと楽しい学びを届けるオンラインプラットフォーム」。実現のために、クラウドファンディングおよびメルカリ取締役会長の小泉文明氏など国内外の個人投資家7名から資金を集め、4kizを立ち上げたというわけだ。

既存のSNSには十分備わっていない「安心・安全」に配慮

では、具体的にはどのようなサービスを提供しているのだろうか。大きな特徴は4つある。

1つ目は、創造性を育もうという視点だ。絵や漫画、ブロック、料理、昆虫や植物の観察、絵日記、作文、自由研究、折り紙、歌、演奏、プログラミングなどの創作品、あるいはペットの様子や風景、日常生活の一コマなどを5秒から60秒の短い動画で投稿し、シェアできる。動画には、テキストやスタンプを載せるなどの編集も可能だ。

創作品のほか、日常生活の中で発見したことなども動画で投稿できる
(写真:4kiz提供)

2つ目は、好きなことでつながり合えること。子どもたち同士で「いいね」をつけたりコメントし合えたりするほか、ハッシュタグやフォロー、トレンド機能、レコメンド機能などでつながりを促進し、健全なコミュニティーの醸成を狙う。また、子どもたちの学びに役立つコンテンツやプログラムを有する企業・団体、クリエーターや専門家などの公式アカウントともコミュニケーションが取れるようにしていく。

「子どもは自分で何かを作ると反応が欲しくて『見て、見て』と言いますが、親は忙しくて対応できない場合も多い。自分の創作品を投稿することで、子どもたち同士で刺激し合い、発想力や発信力、表現力といった、いわゆる非認知能力を高める場にしたいと考えています」

3つ目は、家族間でのコミュニケーションも可能であること。父母はもちろん、祖父母などの親族も家族ユーザーとして招待でき、家族内限定でコメントし合えるコメント欄も設けている。

そして4つ目が安心・安全な設計を実装していること。「ここが既存のSNSとは異なる大きな点」だと本山氏は言う。SNS利用の低年齢化やそれに伴う小学生のSNSいじめの急増、SNSを通じた性犯罪の増加など、近年の社会背景を踏まえ、安心・安全に配慮した。

まず4kizの利用登録は、保護者の承認が必要だ。保護者が管理アカウントを開設したうえで、それにひも付く子どものアカウントを作るプロセスを経て初めて利用が可能となる。

氏名はニックネームを使い、プロフィール写真は顔のイラストパーツを自由に選んでアバターを作成することもでき、子どもたちのプライバシーが保護されるよう配慮した。

また、誹謗中傷やいじめにつながると思われるNGワードを設定。例えば「死ね」といった言葉は書き込めない。犯罪リスクを抑えるため、1対1のダイレクトメッセージの機能は採用せず、不適切なやり取りなどがあった場合に報告できる機能を設けた。

ペアレンタルコントロール機能も搭載し、投稿の公開前に親が確認するか、利用時間を制限するか、コメントやフォローなどの機能の利用を可能にするかなどについて、保護者のアカウントで設定できる。「親子で話し合い、一緒に取り組みながら、SNSのリテラシーを身に付けていただきたいです」と、本山氏は話す。

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