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転換点を迎えつつあるウクライナ戦争と米国 「管理戦争」の停戦を米国は視野に入れるべきだ

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ウクライナ戦争が転換点を迎えようとしている。

ウクライナ東部ルハンスク州のセルヒ・ハイダイ知事は(6月)24日、ツイッターで、ロシア軍と激戦になっている要衝セベロドネツク市について、「防衛隊が市内から撤収し、より要塞化した場所に移動する」と投稿した。ウクライナ国営通信によると、国防省は24日夕、同市に隣接するリシチャンスク市一帯も露軍が包囲しようとしていると明らかにした。/24日の米CNNによると、ハイダイ氏はセベロドネツク市について、「毎日死者数が増え、市内にとどまることに意味がない」と述べた。(6月25日「読売新聞」電子版)

ウクライナはセベロドネツク市での敗退を認めず、軍を戦略的に配置転換したと主張しているが説得力に欠ける。むしろ以前、ゼレンスキー大統領が述べたことが重要だ。

ウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクでは(6月)8日、侵攻を続けるロシア軍と市中心部から郊外に退却したウクライナ軍との間で市街戦となっている。ウクライナのゼレンスキー大統領は8日に公開した動画で、同市で「陣地を防衛し露軍に甚大な損害を与えている」と強調しながら、「この戦争で最も困難な戦いのひとつだ。あらゆる意味でドンバス(ルガンスク、ドネツク両州)の運命はそこで決まる」と訴えた。(6月10日「毎日新聞」朝刊)

セベロドネツク市をロシアが制圧したことで、ドンバス地域の運命は決まったのだ。

日本の対ロシア政策は「価値の体系」に限定

ウクライナ戦争に関する日本の報道は、「政治的、道義的に正しいウクライナが勝利しなくてはならない」という価値観に基づいてなされている。このことが総合的な分析の障害になっている。

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