「我々はこれまでの延長線上にない世界を生きている」。6月7日に閣議決定された岸田文雄政権の「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針)は決意表明的な一文で始まる。コロナ禍やウクライナ危機、資源価格高騰による海外への所得流出など、現状を的確に説明している。
だが「これまでの延長線上にない世界」の記述はそこで打ち止め。もう1つの従来と隔絶した重大変化については触れていない。それは約40年ぶりとなる主要国のインフレや、米国の急激な金利上昇(金融引き締め)のことだ。
この世界経済・金融情勢の大転換は、米ドルと円の金利差拡大などから急激な円安を引き起こしている。日本銀行が金利をゼロ%程度に人為的に抑え続ける異次元金融緩和について、黒田東彦日銀総裁や岸田首相は「現状を堅持」との姿勢を崩さないが、市場では遠からず金融政策の修正があるとの観測が絶えない。なぜか。
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