岸田内閣は年頭に「スタートアップ創出元年」を宣言し、新しい企業の誕生を通した経済活性化へ意欲を示している。なぜスタートアップ(創業間もない企業)に対する期待が高いのだろうか。それは、スタートアップの登場によって市場での競争が活発化し、新規性の高いイノベーションが創出され、新たな雇用が生まれると考えられているからだ。とくにユニコーン企業(設立10年以内の評価額10億ドル超の未上場企業)のような高成長企業の登場が待望されている。
しかし、スタートアップを通した経済活性化の実現は容易ではない。創業間もない頃の企業は資源と経験が乏しく、「新規性の不利益」と呼ばれるさまざまな課題に直面することが知られている。
例えば、実績のないスタートアップに関して金融機関や投資家が持っている情報は少ない(情報の非対称性が強い)ため、資金調達が思うようにできない。また、採用活動や取引先・連携先の開拓も容易ではない。こうした事情のある中で、市場任せにしていてはアントレプレナー(起業家)の登場が制約を受けてしまう。そこで本稿では、政府による創業支援の方向性について、最近の国内外の研究からヒントを探っていきたい。
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