テンプレ型の教育で増えた「いい子症候群」の若者 「最近の若者は…」と嘆く前に大人がやるべきこと

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素直でまじめないい子。最近の若者が、このように評されるのを耳にしたことはないだろうか。一方で、同じ若者が「何を考えているのかわからない」「意思を感じない」と言われる。なぜ、このようなことが起こるのか。『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』の著者で、最近の若者心理にも詳しい金沢大学教授の金間大介氏に、「いい子症候群」をキーワードに解説してもらった。
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「いい子症候群」とは?

金間 特徴をパッと見てもらえたらわかると思うんですけど、最近の若者というのは、とくに素直でまじめでいい子って言われますし、受け答えはしっかりしていて、若者らしさも一見あって、話をするとそれなりの協調性がある。で、まぁ話をよく聞くし、言われた仕事はしっかりきっちりこなす。

あと、ちょっと異色かもしれませんけど、会社の飲み会にはそれなりに参加するっていうのが、一見した行動の特徴というふうにみられます。これを称して、「最近の若者は、まじめでいい子」って言われると思うんです。

一方で、多くの社会人の皆さんから、「最近の若者は何を考えているかわからない」ってよく質問されるんですけど、それはこういったところからくる疑問ではないかなと思っています。

例えば、自分の意見は言わないとか、言っても当たり前のことしか言わないし、「質問はありますか?」と聞いても、誰も手を挙げないし質問もしない。あと、何か行動するとき、単純に散歩や買い物でもいいんですけれども、必ず誰かが先頭に立たないと、その後に続こうとしない。つまり、自分が真っ先に動こうとはしない。

また、演技というのは少し強い言葉かもしれませんけど、その場の空気を非常に重んじるがゆえに、それを乱さないように、絶えず小さな、ささいな演技をし続けている状態っていうのが行動に表れてるんじゃないかなというふうに思います。

どうしてそういう行動になるのかっていう感情をまとめると、次のようなものが特徴として挙がってきます。

まさにですね、目立ちたくなくて、100人のうちの1人に埋もれていたいっていう感情が強いです。その背景として、変なことを言って浮いたらどうしようと、いつもその恐怖におびえている状況があります。

ですから、自分で決めたくない、あるいは決めるときは「みんなで決めました」と言いたい。で、その背景としてさらに、自分に対する人の気持ち、つまり他人が自分をどう思っているのかっていうところに非常に敏感で、その変化を怖いと感じています。

ですから、生きるうえで重要なのは、精神的な安定っていうのがいちばんになってきます。安定っていうのはキーワードなので、また後でお話しできればなというふうに思っています。

最後の2つは、まさに社会人になってからという構造なんですけれども、そういった臆病で、ちょっとかわいらしさもあるんですけれども、そういった気持ちの反面、「君はどんな仕事がしたいのか?」って聞くと、こんな感じの言葉を皆さんよく聞いてるんじゃないかと思います。

自分の個性や能力を生かした仕事をしたい、能力や個性を生かして社会課題の解決に進んでいきたい、そうやって社会に貢献したいっていうふうに、「いい子症候群」の若者は、まさに口をそろえて言うっていう状況になっていると思います。

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