スズキ「アルトラパン」7年経過でも売れ続ける訳 女性目線が生んだ老若男女問わない乗りやすさ
丸いヘッドライトとウサギのエンブレムを備えた顔つきは、いかにも愛らしい。後ろ姿のコンビネーションランプも丸型で、抑揚をつけた車体の凹凸の様子も、やさしい印象を与える。かといって、単に可愛いだけで子供っぽいのは嫌いという女性の生の声が、女性開発者によって活かされていると感じる造形だ。
ドアを開けたときの床が低く、どのような服装でも乗り降りしやすくしている点も、女性の服装の多様さに対応している。
ドアを開けて目に入る室内は、ベージュやら、といった、いずれも薄茶系統の明るい空間となっており、機械的な印象を与える黒の内装に比べ居心地のよさそうな印象をもたらす。
運転席に座ると、丸いメーターや四角いカーナビゲーション画面などが、置時計や写真立てのような自宅の家具を思わせ、ダッシュボードも居間のテーブルやカフェのカウンターの雰囲気を持つ。
丸いメーターの表示は、簡素で、文字も大きく判別しやすい。ハンドルは、黒や濃い色が一般的だが、ラパンではアイボリーだ。クルマらしくない室内という言い方が正しいかもしれず、座席は、まさにソファーのようなゆとりを感じさせる。それでいて、運転に必要な表示やスイッチは明確で扱いやすい。
女性が気にかける日焼けや暑さに対しては、UV(紫外線)とIR(赤外線)を抑えるガラスを前席の側面に採用し、フロントウィンドウにもIRカット機能を持たせている。空調は、ナノイー機能があり、弱酸性で肌や髪にやさしい性能を備える。
普段使いを考え抜いた快適性
エネチャージと呼ぶ、スズキ特有のエネルギー回生をエンジンに使う車種では、アイドリングストップの際に冷気を維持するエコクールを装備することにより、信号待ちなどによる1分近い長いエンジン停止中も、冷気を出し続ける機能がある。これによって、燃費を維持しながら涼しさも損なわずに済む。
ほかにも前席にはシートヒーターがあり、4輪駆動車では助手席側にも装備する。シートヒーターは、体を直接温め、かつ早く機能するので、真冬の外出でも走りはじめから快適でいられる。
車体色は、ピンクのネイルカラーや、ウサギの毛の色といったパステル調のほかに、茶や濃紺といった渋めの色も選べ、2トーンを含め12種から選べる(現在は11種)。また車体下部やホイールハウスまわりのアーチモールなどは、単なる黒ではなく、色味のある素材とすることで貧相な印象を与えない配慮も感じた。
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