日本経済、原材料高に急速な円安も痛撃する苦悩 このまま円安が続けば食品業界は再度値上げ必至

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国内で2月に値上げを決めたばかりのキッコーマンは、今後の為替動向など市場環境を注視した上で、再度値上げするかを判断するとしている。北米では原料価格の上昇により、昨年11月の値上げに続き再度の値上げを予定している。同社の中野祥三郎社長は27日の決算会見で、「国内については現時点で決まったことはない。今後の原料価格などを見て」判断すると述べた。

業績予想の発表見送り

同社は、ウクライナ情勢により原材料や原油価格が上昇しており為替の変動も大きく、業績予想の算定で未確定な要素が多いことから、今期(23年3月期)の業績予想の発表を見送った。

素早い値上げは英断か単なる価格転嫁か

アサヒグループホールディングスは26日、各種コストの上昇は今後も継続するものと想定し、企業努力での吸収が困難な状況であることから、「スーパードライ」などのビール類や国産ウイスキーの一部商品の価格を10月1日出荷分から値上げすると発表した。店頭価格で6-10%の値上げを見込んでいるという。

アサヒGH:ビールや国産ウイスキー一部値上げ、店頭で6-10% (1)

同社の値上げは株式市場からは驚きをもって迎えられた。SMBC日興証券の高木直実アナリストは、「さすがアサヒ、迅速果断な値上げ」と題したリポートを同日付で配信。コスト高は当初の想定以上になっていると推測し、「早期決断は経営陣の危機感の表れ」と評価した。発表翌日のアサヒGHの株価は一時前日比7%高となった。

帝国データバンクが105社の主要飲食料品メーカーを対象に4月に実施した調査では、7割超が1年以内に値上げすると回答。値上げの計画は加工食品や調味料など累計で6167品目に及んでおり、消費者の生活に直結する食品分野での値上げの動きが今後さらに広がる可能性が高い。

食品メーカーなどの相次ぐ値上げがどの程度消費者に波及するかは、メーカーと消費者をつなぐスーパーなど小売りの現場の判断も影響する。これまではスーパー側が吸収したり、代替品の販売に切り替えたりすることもあった。

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