1月以降、欧米金融市場で高インフレ抑制のための利上げ観測が急速に強まると同時に、日本の市場関係者も日本銀行の金融緩和正常化を議論し始めた。しかし2月時点では、インフレ率がいまだに2%にも届かない中で、日銀がすぐに欧米の中央銀行に追随することはないとの見方が強かった。
その状況が3月下旬から変化してきた。米国の長期金利が上昇を続ける中で日米の長期金利差拡大に焦点が当たり、日銀が長期金利の固定化政策(イールドカーブ・コントロール、YCC)を続けることが過剰に円安を促す、との連想が強まったからだ。インフレ目標達成の有無とは別に、円安を加速させる「装置」となってしまったYCCのスキーム修正を日銀は迫られる、との予想が出てきたのである。
ただ、そうした意味でのYCCの修正は、日銀には非常に悩ましい選択であろう。金融政策を為替対応に充当すべきではないという原理原則論が、日銀の内外で根強く支持されているからだ。1980年代、秩序あるドルの下落に協力するために過剰な金融緩和を強いられ、結果的にバブルを発生させたという反省がある。
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