スマホ電池1位のTDKが明かす「電池の生存戦略」 石黒社長が断言「日本ありきの開発ではだめ」

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世界最大の車載電池メーカー、CATLとの合弁会社設立を昨年発表したTDK。電子部品大手が描く、電池事業での成長の道筋とは。

スマホ向け電池で世界首位の香港企業を傘下に持つTDK。石黒社長は「日本ありき」でのサプライチェーン構築に異を唱え、世界各地で製造・開発を分業する重要性を指摘した(撮影:尾形文繁)
スマートフォン・タブレットの普及に自動車の電動化、再生可能エネルギーの利用拡大などが進み、電池(バッテリー)が使用される機会がますます増えている。
電子部品大手のTDKは、スマホに使われる電池で世界シェアトップを誇る香港企業、ATLを傘下に持つ。TDKの前2021年3月期の営業利益は1115億円。ATLを中核とする電池事業の営業利益は1474億円と、費用先行が続くセンサー事業などの赤字を埋めるほどの大黒柱となった。
今や世界最大の車載電池メーカーである中国のCATLは、実はATLからスピンオフして生まれた企業。TDKはそのCATLと組み、家庭用蓄電池や電動バイク向けなどの中型電池の開拓を目指す方針だ。1月31日の決算発表時には、合弁会社設立に向けて各国の独占禁止法上の審査承認を獲得したことを明らかにした。
競争が激化する電池業界でどう勝ち抜き、成長を続けていくのか。電池事業の今後の戦略について、石黒成直社長に聞いた。

CATLの技術を使わない理由はない

――2021年4月に世界最大の車載電池メーカー、CATLと合弁会社設立を含む業務提携を行うと発表しました。

CATLと組む思惑の背景がある。

TDKグループが扱うパソコンやタブレット、スマホなど民生用の電池は、デバイスの数が多く、それなりの市場規模がある。TDKにとって主戦場が民生用電池なのは変わらない。この分野をよくわかっているし、世界の顧客もTDKの製品を用いて(スマホなどの)新製品を出すスキームを回している。ただ、ここに依存しているだけでは数年後、電池業界でマイノリティーになってしまう。

足元では車載電池の市場規模は急激に伸びているが、TDKは「4輪はやらない」と言い続けてきた。資本力の問題もあり、車載電池には出ていくべきじゃない。

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