韓台中が加盟申請、貿易協定「TPP」が迎える正念場 ルールづくり参加へ、中国加盟の高いハードル

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2021年に台湾と中国、韓国が相次いで加盟申請を行い、アメリカを除く11カ国が大筋合意したTPPは転機を迎えつつある。

韓台中の3カ国は2021年、相次いでCPTPPへ加盟を申請した。写真は左から中国の習近平国家主席、韓国の文在寅大統領、台湾の蔡英文総統(写真:左はAA/時事通信フォト、中と右はEPA=時事)

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日本も深く関わる貿易体制に変化が生じつつある。

2021年9月、中国と台湾がCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定、以下TPP)への加盟を申請。さらに同年12月に韓国も加盟申請の意向を発表した。いずれも日本との関係が深い主要貿易相手国だ。

米中対立が続き、「経済安全保障」の重要性が高まる中、本来は「対中包囲網」としての性格が強いTPPに中国が加盟することはその性格を一変させることになる。さらに中国と台湾の対立関係は、安全保障面でも変化を与えそうだ。

また、徴用工問題など日本との懸案を抱える韓国の加盟申請は、日本外交にも影響しそうだ。今後の加盟手続きが注目されるゆえんでもある。

申請は韓国の次なる一手

11カ国で構成されるTPPの加盟ルールに照らすと、加盟へのハードルは中国にとってかなり高く、台湾や韓国にとっては低い。中国は国有企業の行動や労働に関する規定、電子商取引の自由といった点で、すぐに適応・改善することが難しいためだ。

中国経済における国有企業のプレゼンスはかなり大きく、政府が恣意的に介入する余地が高い。また、強制労働や児童労働の疑いがぬぐい切れない。中国がこれらの点を解消、あるいは解消させる具体策を提示できるのかは疑問だ。

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