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留学生の入国制限と日本の鎖国体質 リスクを冒してまで招く必要のない存在と位置づけ

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英オックスフォード大学教授 苅谷剛彦(かりや・たけひこ)1955年生まれ。米ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、博士(社会学)。東京大学大学院教育学研究科助教授、同教授を経て2008年から現職。著書に『階層化日本と教育危機』『増補 教育の世紀:大衆教育社会の源流』『教育と平等』など。(撮影:尾形文繁)

新型コロナウイルスの変異株オミクロンがWHO(世界保健機関)から最も警戒度の高い「懸念される変異株」に認定されて以後、多くの国々が感染拡大防止策を取り始めた。その1つが国境管理の厳格化である。

日本では11月8日に外国人技能実習生や留学生などの入国制限が緩和されたのもつかの間、同月30日に再び外国人の入国が原則禁じられた。いわば「鎖国」状態である。それ以前の対応の手ぬるさを挽回するかのように、今回は他国以上に厳しさの伴う即断即決だった。

実はコロナ禍において、日本政府はそれ以前にも留学生の入国には厳しい措置を続けてきた。2020年春以降、段階的に入国を制限し始め、全体の95%を占める私費留学生の入国制限が行われてきた。読売新聞(9月18日付)によれば、留学生の新規入国を認めなかった国は、主要7カ国(G7)の中で日本だけだったという。ほかのG7諸国の感染者数が日本に比べ桁違いに多いことを考えれば、日本の姿勢は、留学生に対しひときわ厳しいといえる。

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