在日英国人エコノミストのデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社社長)は最近、「生産的政府支出」の増強を訴えている。これは、民間企業の生産性を高め、経済成長に貢献するような政府支出のことであり、内生的経済成長理論にも登場する概念だ。潜在成長率を高める政府支出という意味では、ワイズスペンディングとほぼ同義といえよう。
問題は、何が生産的政府支出かである。昭和の東京オリンピックの頃は、首都高速道路や東海道新幹線などの交通インフラ整備が高度成長に大きく貢献した。多くの新興国では、現在も同様だろう。だが現在の日本で、利用者の少ない地方の高速道路や新幹線を新設・延伸しても大きな経済効果を期待できないことは明らかだ。
これに対し、現代の経済成長研究で注目されているのが、無形資産投資や人材投資の重要性である。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の躍進が鮮やかに示すように、先進国で成長を主導するのはソフトウェアやデータなどの無形資産であり、それを生み出す人材である。しかも、情報や技術は外部性の大きな準公共財だから、これらの蓄積には政府が大きな役割を果たすべきだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら