ファーウェイ「クラウド事業」の壮絶な社内対立 ファーウェイ「大変身」への苦闘②

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
拡大
縮小

ファーウェイにとってアメリカの制裁の影響を受けにくいソフトウェア・サービスの拡大は喫緊の課題だ。しかし同時に、それは社内対立の火種にもなっている。

余承東氏への権限集中は、ファーウェイが社内に抱える矛盾を象徴している。写真は2020年10月、新型スマートフォンを発表する余氏(ファーウェイのウェブサイトより)

特集「中国「デジタル強国」の実像」の他の記事を読む

アメリカ政府の制裁を克服すべく、自動車、クラウド、再生可能エネルギーなど新分野のビジネスを急拡大させるファーウェイ。しかし大胆な布陣の変更は、社内に矛盾や軋轢も生み出している。
通信基地局やスマートフォンなどのハードウェア・メーカーとして成長してきたファーウェイにとって、制裁の影響を受けにくいクラウド事業などソフトウェア・サービスの育成は喫緊の課題だ。しかしハードの販売を優先してきた組織文化を変えるのは、並大抵のことではない。
東洋経済の提携先である中国の「財新」が配信した特集記事の邦訳の第2回目では、クラウド事業の「迷走」の内側に迫る。

4月25日、ファーウェイの「コンシューマーBG(ビジネスグループ)」のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏は、同社が広東省深圳市で開いたクラウド・コンピューティングの開発者向けイベントで基調講演に臨んだ。スピーチの間ずっとテレプロンプターの台本を読み上げていた余氏は、クラウド業界の専門用語にまだ慣れていない様子だった。

異例の権限集中に透ける社内事情

3カ月前の1月27日、ファーウェイは余氏が「クラウド&コンピューティングBG」のCEOを兼務するという人事を社内に通知した。法人向けが中心のクラウド事業はコンシューマー向け事業とは畑違いであり、この処遇には社内外から驚きの声が上がった(訳注:4月の組織改編でコンピューティング部門が分離され、現在はクラウドBU[ビジネスユニット]となっている)。

次ページ激しい社内競合
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内