ファーウェイにとってアメリカの制裁の影響を受けにくいソフトウェア・サービスの拡大は喫緊の課題だ。しかし同時に、それは社内対立の火種にもなっている。
アメリカ政府の制裁を克服すべく、自動車、クラウド、再生可能エネルギーなど新分野のビジネスを急拡大させるファーウェイ。しかし大胆な布陣の変更は、社内に矛盾や軋轢も生み出している。
通信基地局やスマートフォンなどのハードウェア・メーカーとして成長してきたファーウェイにとって、制裁の影響を受けにくいクラウド事業などソフトウェア・サービスの育成は喫緊の課題だ。しかしハードの販売を優先してきた組織文化を変えるのは、並大抵のことではない。
東洋経済の提携先である中国の「財新」が配信した特集記事の邦訳の第2回目では、クラウド事業の「迷走」の内側に迫る。
4月25日、ファーウェイの「コンシューマーBG(ビジネスグループ)」のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏は、同社が広東省深圳市で開いたクラウド・コンピューティングの開発者向けイベントで基調講演に臨んだ。スピーチの間ずっとテレプロンプターの台本を読み上げていた余氏は、クラウド業界の専門用語にまだ慣れていない様子だった。
異例の権限集中に透ける社内事情
3カ月前の1月27日、ファーウェイは余氏が「クラウド&コンピューティングBG」のCEOを兼務するという人事を社内に通知した。法人向けが中心のクラウド事業はコンシューマー向け事業とは畑違いであり、この処遇には社内外から驚きの声が上がった(訳注:4月の組織改編でコンピューティング部門が分離され、現在はクラウドBU[ビジネスユニット]となっている)。
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