大型経済対策やワクチン接種の進展で米国の景気回復が顕著になり、長期金利が上昇したことがドル高の背景にある。とくに実質金利が上がったことが大きい。歴史的にもドル円相場は日米の実質金利差と相関が高い。コロナショックで相関はいったん崩れたが、金利上昇局面で再び戻ってきた。
今年末で1ドル=110円を予想しており、緩やかなドル高基調が続くだろう。FRBはインフレ率や失業率が目標に達していないとして、今の緩和的政策を維持する必要性を強調している。だが市場は景気V字回復で来年1~3月期にはテーパリングが始まるとみて、(金融緩和の)出口戦略を先取りしつつある。長期金利はジワリと上昇し続けそうだ。
一方、日銀は緩和的政策の継続に加え、貸出促進付利制度の創設を発表。インセンティブをつければマイナス金利の深掘りも可能なことを示した。円高騰時にそれを阻止する緩和手段を得たわけで、極端な円高にはなりにくくなる。今年はドルがやや右肩上がりで推移する可能性が高い。
中長期的にも23年3月末に1ドル=113円程度を見込む。テーパリング開始は22年1~3月期、利上げ開始は24年前半とみている。
リスクシナリオとしては、可能性は低いものの、インフレが2%を超えて急加速し、早期の金融引き締め観測が高まった場合、市場が混乱してリスク回避の円高が進むことも想定される。13年のバーナンキショック時と比べてFRBの資産規模は(量的緩和で)ほぼ倍増しており、金融市場における中央銀行の存在感が圧倒的に大きい。そのため、FRBが市場との対話に失敗すると株式市場などの混乱リスクも大きい。
ユーロ圏は全般的にワクチンの普及が遅れ、ドイツが再びロックダウンに入るなど景気がもたついている。ECB(欧州中央銀行)は緩和的政策を米国よりも長く続ける必要があり、足元で緩和を加速すると言っている。ユーロは対ドルで上昇しにくいし、円に対しても弱くなる可能性が高い。
(構成 中村 稔)






















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