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「日本の物価2%は見えず 米景気にも下方リスク」 専門家に聞く 今後の金融政策とマーケット/みずほ総合研究所 門間一夫

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もんま・かずお 1957年生まれ。81年日本銀行入行。調査統計局長、企画局長を経て2012年5月理事(金融政策担当)。13年3月国際担当。16年5月退職、同6月からみずほ総合研究所 エグゼクティブエコノミスト。(撮影:今井康一)

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元日本銀行理事の門間一夫氏は、「金融緩和の点検」の最大の目的は、ETF(上場投資信託)購入の修正だったと話す。

日銀は今回、中央銀行が日本株の最大株主という異常な状態をこれ以上悪化させないように、ETFは必要な場合だけ買うようにした。株式市場が普通に機能しているときは原則買わないということであり、よい判断だった。

中銀が株を買うのは異例のこと。他国の中銀はどこもやっていない。株式市場は自由主義経済の根幹を成しており、中銀が介入すべきではないというのは各中銀に共通している哲学だ。日銀は2013年に2%の物価目標とETF購入をひも付け、ETF購入をやめられない構図をつくってしまった。

2%目標の達成時期はまったく見えず、今後、景気が力強く拡大しても達成のメドは立たない。日銀の責務は物価の安定。2%の数値目標自体、本来やめるべきだが、日本だけがやめると円高リスクなどの不都合が生じるのでやめられない。次善の策として、ほかの政策とはひも付けずに事実上、形骸化させていくしかない。

米国ではワクチン接種が比較的進み、経済の早期正常化の期待が高まっている。利上げ時期が早まるとの見方から長期金利が上昇した。今後も経済指標次第で市場が前のめりになり、長期金利が2%を超えたとしても不思議はない。

ただコロナ禍による景気下方リスクは残る。テーパリング(量的緩和の規模縮小)については、コロナ収束が確認できないと議論は難しい。テーパリング開始は来年となり、利上げは早くても2~3年先だろう。グローバル化や技術革新などの構造要因を考えれば、サマーズ元財務長官らが警告するようなインフレ加速リスクは低い。

株式市場はバブルとはいわないが、さらに上値を追うのは簡単ではないだろう。景気が順調に回復するシナリオが崩れれば、大きな調整に入る可能性がある。為替も1ドル=110円を超えて一本調子に円安に向かう勢いはない。米金利の上昇基調が変わらないなら緩やかな円安基調が続くが、これまでの円安が速すぎた分、当面は調整局面となるのではないか。

(構成 中村 稔)

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