指導部は自らの課題をよく認識している。安易な批判で理解したつもりになってはいけない。
3月上旬に開催された全国人民代表大会(全人代)。李克強首相の政府活動報告に対し、日本でもいくつもの論評や解説があった。その感想を正直に言えば、「本気で中国を分析するつもりがあるのだろうか」というものだ。
代表的な論評に「李首相の強気な姿勢は余裕のなさゆえ」というものがあった。こうした見方に筆者はあきれるほかない。そもそも何が「強気」で、どこが「余裕のなさ」なのか、まったく意味不明だ。
根拠がなくても中国を批判していれば評価される。そうした言説に中国恐怖症や中国嫌悪症の人々が飛びついてくれる。中国評論をめぐる日本の病巣が透けて見える。
中国指導部はもともとは無謬神話に凝り固まり、自らの間違いはもちろん、欠点や弱点にも触れないのが特徴だった。だが今回の政府活動報告では、自国の問題点をこれでもかと並べ立てている。しかもかなり的確な指摘ばかりだ。
経済において目下の課題は、個人消費の回復の遅れと失業者の増大、そしてこれらに付随して第3次産業の発展が遅れていることだろう。だからこそ当局は「夜間経済」と称して夜間の外出や消費を呼びかけ、民需の拡大に躍起となっている。政府と民間が分担し、消費を盛り上げようとしているのだ。
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