アパレル退店でも生き残れるモデルに
――客足の回復を含めて、業界の展望をどう見通していますか。
なかなか確実なことが見えない。例えばEC(ネット通販)などデジタル分野がものすごいスピードで進化していく中で、2年前には(J.フロントが長期ビジョンとして想定している)2030年に起きると思っていたことが、来年か再来年にはおそらく起こってくる。
――EC普及や巣ごもり消費など、消費行動の変化が加速しています。
インバウンド(訪日外国人)需要は別として、ファッション商品の需要が大きく減っている。ECに流れた影響もあるが、それよりも需要自体が消し飛んでしまっている。リモートワークが今後どの程度定着するかによって、ファッション商品の将来も全く変わってしまう。
――百貨店でのアパレル販売は従来から苦戦が続いていましたが、コロナでそれがより鮮明になっています。
2017年度から5カ年の中期計画では、市場が縮小している婦人服について売り場面積の3割削減を進めてきた。それがコロナで加速してくることは間違いない。なくなるわけじゃないけれど、今のやり方を続けていく限り縮小していくだろう。
婦人服売り場をバサッとほかのものに変えてしまうのも1つの手段だ。ただ、結構お金もかかるし、何より代替するカテゴリーが必要。化粧品やラグジュアリーブランドが従来伸びていたが、インバウンド激減でいったん見極めに入っている。そうすると転換するものがない。
もう少しコンパクトなブロックごとに、婦人服から転換していく方法もある。しかし、アパレル大手のオンワードさんやワールドさんがどんどん出ていって、短期的な対応をどうしていくか考えざるを得ない。
――地方店や郊外店では、大手アパレルメーカーの大量退店の影響が顕著に現れています。
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