『地球が燃えている 気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』 『格差のない未来は創れるか? 今よりもイノベーティブで今よりも公平な未来』ほか
困難だが、まだ間に合う 温暖化阻止への熱い檄
評者/北海道大学大学院教授 橋本 努
2019年、豪州の港湾都市ポートオーガスタにおいて49.5度という気温が観測されたとき、その近くにある世界最大のサンゴ礁地帯ではサンゴの半分が死滅したという。同年11月にニューサウスウェールズ州で発生した森林火災は、約240日間にわたり続いて、広大な森林が失われた。いずれも、地球温暖化による気候変動を象徴する大惨事である。
18年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、気候変動に起因する新たな災害を防ぐためには、気温上昇を1.5度未満に抑える必要がある。そのためには30年までに世界の炭素排出量を半減し、50年にはネット・ゼロを達成しなければならないという。
ほとんど無理な数値目標にみえるが、先進諸国がグリーン・ニューディール政策を最速で進めれば達成可能であると著者はいう。
ただそのためには、先進諸国は毎年15%ずつ温暖化ガス排出量を減らす必要がある。昨年はコロナ禍でCO2の排出量が世界全体で7%減ったというが、ここからさらに8ポイントを上積みするためには、歴史的に前例のない規模の“マーシャルプラン”が世界的に求められる。あわせて人々は、ライフスタイルの抜本的な変化を余儀なくされる。
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