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『「3密」から「3疎」への社会戦略 ネットワーク分析で迫るリモートシフト 』 『河田嗣郎の男女平等思想 近代日本の婦人問題論とジェンダー』ほか

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新しい社会の枠組み提供 違う二極化の招来に注意
評者/甲南女子大学教授 林 雅彦

『「3密」から「3疎」への社会戦略 ネットワーク分析で迫るリモートシフト』金光 淳 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] かねみつ・じゅん シカゴ大学大学院修士課程、ピッツバーグ大学大学院博士課程修了。京都産業大学現代社会学部教授。専門はネットワーク科学、社会ネットワーク論、組織論、経営社会学、経済社会学など。編著書に『ソーシャル・キャピタルと経営』。

新型コロナ禍以前の社会を「3密」と捉えたうえで、ソーシャル・ネットワーク論をベースに、アフターコロナ時代に「働く者」がとるべき戦略を提唱する。①「管理中枢からの社会的距離戦略(勤務する企業や組織から社会的距離をとる)」②「中央=東京からの社会的距離戦略(過密都市から物理的にも距離をとる)」③「人からの社会的距離戦略(いかに「密接」を避けてイノベーションのソーシャル・ネットワークを構築するか)」の「3疎」戦略だ。

著者は、新型コロナ禍により「時代は『オフィスレス』へシフトし、社会はローカルな方向に向かい、大幅にヴァーチャル空間への退却を余儀なくされた」ことを奇貨として、この「3疎」戦略により、最終的に労働者の自由の獲得・解放への道が拓(ひら)けるという。著者自身も認めている通り、一種のユートピア論といえよう。とはいえ、著者はこの戦略が、地方の活性化、地方文化創造、女性のキャリア形成の可能性を広げ、老人文化の形成にも資するとしている。この点には賛同したい。

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