崖っぷちの三菱自動車 東南アジア「一本足」の賭け
裏目に出た拡大戦略。欧州からは事実上撤退し「選択と集中」を推進。
三菱自動車が正念場を迎えている。従来の業績不振に新型コロナウイルスによる販売激減が重なり、今2021年3月期は3600億円もの最終赤字を見込む。これはリコール隠し問題が原因で経営危機に陥った05年3月期の4747億円の赤字に次ぐ水準だ。
業績不振の根幹にあるのが、日産自動車の出資を受け入れて事実上傘下に入った16年以降に進めてきた拡大戦略だ。前回の中期経営計画(17~19年度)では3年間で世界販売を4割増の130万台にする挑戦的な目標を掲げ、得意とする東南アジアだけでなく、欧米や中国などのメガマーケットを含めた「全方位」での販売シェア拡大を狙った。
ゴーン拡大戦略の誤算
背景には、カルロス・ゴーン会長(当時)の大きな野望があった。ゴーン氏は日産と仏ルノー、三菱自の3社アライアンス合計で22年までに年間販売1400万台を達成するとの目標をぶち上げ、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲンを超える世界最大の自動車グループをつくろうとした。ゴーン氏は、日産から送り込んだトレバー・マン三菱自COO(最高執行責任者、当時)ら腹心の外国人幹部に、販売拡大の旗を振らせた。
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