9月14日に自民党の総裁選挙が行われ、菅義偉氏(官房長官)が選出された。菅氏は377票、岸田文雄氏(元外相)が89票、石破茂氏(元防衛相)が68票を獲得した。当初、自民党の地方党員の票は石破氏に流れるとの見方が強かった。しかし筆者はそのような見方にくみせず、地方票でも菅氏が圧勝するとみていた。それは安倍前政権の特徴が首相のカリスマ性に依存しないシステムであり、このシステムが継承されるか否かが自民党総裁選の争点だったからだ。筆者はこのシステムを太平洋戦争前の天皇機関説との類比で「首相機関」と呼んでいる。天皇機関説とは、大日本帝国憲法(明治憲法)の解釈をめぐる一学説で美濃部達吉によって代表された。〈この学説の特色は、“統治権は天皇に最高の源を発する”という形で天皇主権の原則を認めるが、しかし同時に天皇の権力を絶対無限のものとみることに反対する点にある。すなわち統治権は天皇個人の私利のためではなく、国家の利益のために行使されるのであるから、国家はその利益をうけとることのできる法人格をもつもの、したがって統治権の主体であり、天皇は法人としての国家を代表し、憲法の条規に従って統治の権能を行使する最高“機関”であると規定する〉(『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、ジャパンナレッジ版)。
トピックボードAD
有料会員限定記事
トレンドライブラリーAD
人気の動画

【関税「米中合意」でどうなる?】トランプ大統領の狙い/アメリカ経済の実情/日本がとるべき戦略/アメリカから先進国に資金がシフト/日経平均は2026年に5万円、2030年に7万円?【ニュース解説】

【1万人リストラの“真意”】パナソニックは30年停滞/黒字でなぜ「人員削減」なのか/シナジーが「圧倒的に不足」/株価が上向かない理由/中期計画よりリストラ優先【ニュース解説】

【NTT“大再編”次の一手は?】NTTデータグループ「完全子会社化」の狙い/今や世界3位のデータセンター事業者/ドコモに替わる稼ぎ頭に?/民営化40年で大再編にメド/世界で戦う強み【ニュース解説】

【トランプ政権も余裕なし?】赤沢経済再生相「ゆっくり急ぐ」の意味/“造船”が交渉カードに/米国債売却の是非/参院選への影響/野党も含めた“ポスト石破”争い【青山和弘の政治の見方(小野寺五典)】
会員記事アクセスランキング
- 1時間
- 24時間
- 週間
- 月間
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
トレンドウォッチAD
週刊東洋経済の最新号
- 新刊
- ランキング
注目のキーワード
無料会員登録はこちら
ログインはこちら